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京都地方裁判所 昭和53年(わ)242号 判決 1978年5月15日

一 本店所在地

京都市中京区六角通高倉東入堀之上町一一八番地

法人の名称

馬場株式会社

代表者

右代表者代表取締役 馬場利明

二 本籍

滋賀県大津市山上町五四二番地

住居

滋賀県大津市山上町四番一三号

会社役員

馬場利明

昭和一〇年二月二一日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官佐藤惣一郎出席のうえ審理を遂げて次のとおり判決する。

主文

被告会社馬場株式会社を罰金八〇〇万円に

被告人馬場利明を懲役八月に

各処する。

但し、被告人馬場利明に対しこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和四〇年婦人服地卸売業馬場商店を開業し、昭和四六年五月繊維製品の加工及販売を目的とする被告会社を設立してその代表者となり昭和四九年二月本店を京都市中京区油小路通綾小路下る風早町五六九番地の六から肩書地に移して右被告会社の代表取締役としてその業務全般を総括掌理しているものであるが、婦人服業界における流行による市況変動に備え事業拡張を用意する意図から、被告会社の業務に関し原材料仕入先から白紙の仕切書等を入手して架空材料費を計上したり売上の一部を翌期に繰延べるなどして簿外預金を設定する方法により所得を秘匿して法人税を免かれようと企て、

第一  昭和四九年七月一日から同五〇年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額は六、〇二五万一、三八八円であったにもかかわらず、右方法により所得を秘匿した公表経理に基き同年八月二九日同区柳馬場通二条下る等持寺町一五番地所在の所轄中京税務署において同税務署長に対し、その所得金額が一、四九一万四、八三五円でこれに対する法人税額が四八三万二、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、以て不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額二、二九五万三、五〇〇円と右申告税額との差額一、八一二万〇、六〇〇円を免かれ、

第二  昭和五〇年七月一日から同五一年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額は九、五五〇万五、六四七円であったにもかかわらず、右方法により所得を秘匿した公表経理に基き同年八月二八日前記所轄税務署において税務署長に対し、その所得金額が三、六七八万九、四九六円でこれに対する法人税額が一、三四二万二、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、以て不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額三、六九〇万三、八〇〇円と右申告税額との差額二、三四八万一、七〇〇円を免かれ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判延における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一二通

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  太田恵美子の大蔵事務官に対する質問てん末書四通

一  同人の検察官に対する供述調書

一  九鬼敏和の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  同人の検察官に対する供述調書

一  九鬼敏和及び太田恵美子連名の確認書及び太田恵美子の確認書

一  大蔵事務官作成にかかる査察官調査書六通

判示第一の事実につき

一  被告会社が昭和五〇年八月二九日提出した法人税確定申告書謄本

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第四号)

判示第二の事実につき

一  被告会社が昭和五一年八月二八日提出した法人税確定申告書謄本

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検第五号)

(法令の適用)

判示各所為は、被告会社についてはいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金八〇〇万円に処し、被告人馬場利明の判示各所為はいずれも法人税法一五九条に該当するのでいずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑訴法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させることとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 深谷真也)

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